受取手数料はどのような勘定科目なのかがわからずに困っていませんか。会計処理で受取手数料を使うべきなのか、他の勘定科目にしなければならないのかを判断するのは慣れてしまえば簡単です。この記事では受取手数料とは何かを詳しく解説します。受取手数料の仕訳の方法も紹介するので参考にしてください。
受取手数料とは
受取手数料とは仲介や斡旋、事務や管理などによって本業以外から手数料を受け取ったときに使用する勘定科目です。会計処理では収益勘定として取り扱われます。
受取手数料は営業外収益
受取手数料は営業外収益の勘定科目です。営業外収益とは財務活動によって得られた収入などのように本業以外で得られた収益を指します。銀行預金による利息収入や他社株式の保有による配当金収入などがそれぞれ受取利息、受取配当金といった勘定科目で営業外収益として書知られるのが一般的です。営業外収益には他にも仕入割引や有価証券売却益、雑収入などが用いられます。
売上との違い
売上は収益勘定として受取手数料と区別が難しい場合があります。大きな違いは営業収益か営業外収益かです。営業収益であれば売上、営業外収益であれば受取手数料に仕訳をします。
例えば、人材紹介会社が企業に人材を紹介して雇用契約を成立させた対価として紹介手数料を受け取った場合には売上です。人材紹介会社は人材紹介が本業なので営業収益になります。しかし、小売業の企業が他社から相談を受けて人材を紹介して紹介手数料を受け取ったという場合には受取手数料です。小売業の場合には人材紹介は本業ではなく、営業外収益と見なされるからです。このように本業内か本業外かという観点で仲介・斡旋・事務などによる収益を分類すると売上か受取手数料かを判断できます。
支払手数料と違う点
受取手数料は支払手数料と対義的に用いられる勘定科目です。支払手数料とは取引に関連する手数料や報酬などの支払いを処理するときに用いられる費用についての勘定科目なのが特徴です。支払手数料は一般管理費の一部として取り扱われ、銀行の振込手数料や証明書の発行手数料などが該当します。
一方、受取手数料は本業以外による手数料から得る収益についての勘定科目です。本業とは直接関係がなく、付随的に発生する手数料という点では受取手数料と支払手数料は類似していますが、費用勘定か収益勘定かが異なります。
受取手数料の例・範囲
受取手数料として会計処理すべきかどうかを見極められるようになるには、具体例を通して考えるのが効果的です。ここでは受取手数料と売上のどちらを使用するべきかを判断する方法を具体的に紹介します。
広告アフィリエイト収入
広告アフィリエイトによって収入を得たときには、受取手数料になる場合も売上になる場合もあります。アフィリエイト収入によって収益を得るビジネスモデルで運営している企業の場合には売上になります。しかし、自社ホームページに広告を掲載してアフィリエイト収入を得た場合には受取手数料です。
広告の運用代行手数料
広告の運用代行手数料を受け取ったときには受取手数料になる場合も売上になる場合もあります。広告代理店がウェブ広告の運用の依頼を受けて運用代行をした場合には本業としておこなったので売上になります。しかし、小売店が同じ商業組合のサービス店から依頼を受けて、自社が利用している運用自動化ツールでまとめて広告運用した場合の代行手数料は受取手数料です。
なお、営業外収益でも実務を伴う場合には雑収入に分類するケースがほとんどです。小売店が依頼を受けて他社の広告運用の実務を手作業で実施した場合には勘定科目として雑収入を使用します。
販売手数料
販売手数料については販売した商品やサービスと、本業との関連性によって売上か受取手数料かを判断します。例えば、証券会社が投資信託を顧客に販売したときに受け取った販売手数料は売上です。証券会社は証券の販売による手数料収入を得るという収益構造を持っているのが一般的だからです。一方、自社で製造販売をしている企業が他社から依頼を受けて受託販売をしたときに手に入れた販売手数料は営業外収益になるので受取手数料になります。
紹介手数料・仲介手数料
紹介手数料や仲介手数料は売上になるケースが多いですが、状況によっては受取手数料になります。上述の例のように人材紹介会社が人材紹介をした手数料を受け取った場合には売上ですが、本業外で人材を紹介した場合には受取手数料です。同様に不動産仲介会社が不動産の売買や賃貸を仲介したときに申し受ける仲介手数料は売上になります。事業コンサルタントが不動産仲介会社を紹介したときに紹介手数料を請求した場合にも、コンサルティング業務の一環と考えて売上とするのが一般的です。しかし、エンジニアリング会社が取引先とのミーティング中に付き合いのある会社の紹介について相談を受けて、対価として報酬を受け取った場合には本業外なので受取手数料になります。
社員研修の講義に招聘されたときの報酬
社員研修の際に他社の重役やリーダーを招聘して講義をしてもらうことが多くなりました。招聘を受けて講義をした場合には、人材教育や社員研修を事業としておこなっているなら売上です。しかし、人材関連の事業を営んでいない場合には営業外収益になります。ただ、講義は実務を伴うため、一般的には受取手数料ではなく雑収入として仕訳をします。例外的なのは以前に他社で講義をしたことがあり、講義ビデオを収録していたケースです。その講義ビデオを社員研修で使用する許可を与える代わりに報酬を得たという場合には受取手数料としても雑収入としても仕訳ができます。
受取手数料の会計処理
受取手数料の仕訳の方法を具体的に確認しておきましょう。ここでは受取手数料の支払いを受けたときと、取引先に受取手数料の支払いを請求したときの会計処理を紹介します。
受取手数料の支払いを受けた場合
受取手数料の支払いを受けた場合には借方として現金や普通預金など、貸方に受取手数料を使います。例えば、自社ホームページで副業的に実施していたアフィリエイト広告から30,000円が普通預金に振り込まれた場合には以下のように仕訳をするのが基本です。損益計算書では営業外収益の区分に記入します。
借方 金額 貸方 金額
普通預金 30,000円 受取手数料 30,000円
受取手数料は業務を伴わないので、大抵は受取手数料の発生と現金の受け取りが同時になります。例外的なのは以下で説明する紹介や仲介で後払いになるケースです。
受取手数料を請求した場合
営業外収益に該当する本業外の仕事によって受取手数料を請求する場合には、借方として未収入金、貸方に受取手数料を使います。例えば、他社から不要な備品の買い取り先の相談を受けて、自社の取引先を紹介したときに売買代金の10%を紹介料として受け取る契約をしていたとしましょう。50,000円の売買がおこなわれた場合に、依頼主に紹介料として5,000円を請求したときには以下のように仕訳をします。
借方 金額 貸方 金額
未収入金 5,000円 受取手数料 5,000円
請求に従って支払いを受けたときには以下のように仕訳をします。
借方 金額 貸方 金額
現金 5,000円 未収入金 5,000円
このように請求を伴う場合には未収入金を介して2回仕訳が必要になるので注意しましょう。

