作業服の勘定科目は福利厚生費
製造業に関わらず様々な現場で利用されるのが作業服です。
この作業服の勘定科目は基本的に福利厚生費として計上されます。
最初に作業服とは何か、福利厚生や福利厚生費はなにかについて解説していきましょう。
まず、作業服というと建設業や製造業の丈夫なユニフォームを連想する方も多いのではないでしょうか。
実は、作業服といっても様々なものがあり、上記のような業界のユニフォームだけでなく、飲食店のユニフォームや小売店のユニフォーム、場合によっては医療機関や介護施設、リラクゼーション施設の白衣も作業服として考えられます。
つまり、今回紹介する仕訳は、これらの様々な業界で使用されるユニフォーム全体に適用されることといえるでしょう。
次に福利厚生についてみていきましょう。
福利厚生は、会社や組織が従業員に送る金銭以外の支給品を指します。
つまり、給料や各種手当、ボーナス以外の形で何らかの支給品を提供することです。
そして、この福利厚生には次の2種類の福利厚生が存在し、作業服は法定外福利厚生に当たります。
・法定福利厚生
・法定外福利厚生
法定福利厚生は、法律で指定された福利厚生費で、主に会社による社会保険料の負担が挙げられます。
具体的なものとして、健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの社会保険料の一部または全部です。
また、児童手当拠出金の納付もこれに当たります。
法律で定められているので、役員、従業員含めて対象となるものです。
法定外福利厚生とは、会社が独自に定めているもので、任意に定めた福利厚生です。
たとえば、健康診断や社員食堂、フィットネスジム、託児施設、忘新年会、社員旅行、サークルといったものが挙げられます。
これらは法律で定められていないもので、言い換えれば作業服の支給も法律に明記されてません。
最後に福利厚生費とは勘定科目上どのようなものか解説します。
福利厚生費とは、業務の遂行に欠かせない保障やサービスにかかる費用に対して計上するものです。
税法上も福利厚生費は経費として計上できるもので、非課税対象にできるメリットがあります。
また、厳格な定義づけがされていないため、ある程度自由に対して広く認められていることも特徴です。
ちなみに対象が従業員に対しての経費という位置づけから、同じレストランで同じ会食をしたとしても従業員向けの経費であれば福利厚生費、社外向けであれば交際費として計上する点も知っておきましょう。
ちなみに交際費は範囲や限度額が定められている点で福利厚生費よりも制限があります。
ただ、福利厚生費も次の3つの条件があるので知っておきましょう。
・賃金ではない
・全従業員が対象
・社会通念上妥当な金額
作業服は上記のいずれにも該当するので、福利厚生費として計上するのは妥当といえます。
このように基本的に各業界で使用される作業服やユニフォームは、社員向けの業務向上を目的とした経費である福利厚生費として計上できます。
作業服の勘定科目を福利厚生費以外にする方法
基本的に福利厚生費に仕訳する作業服ですが、次の方法で福利厚生費以外にすることも可能です。
・独自の科目を作る
・消耗品費として処理
勘定科目は、独自に作ることが可能です。
この点に注目して福利厚生費以外の科目を作ってしまうという点もあります。
たとえば、「ユニフォーム費」といった科目や「作業服費」といった科目です。
ただ、注意点として外部から見た場合誤解を与えないような名称にする必要があります。
具体的には、決算書をチェックできる立場にある株主や税務署、金融機関などの債務者が一目見てどんな経費か分かるようにすることです。
自分たちだけで分かるような意味不明な科目(能率向上衛生費など)にしないようにしましょう。
消耗品費として処理する方法もあります。
原則法人化していない個人事業主の場合は、福利厚生費が計上できないので消耗品費として計上するため、ここでは法人税を支払う法人が消耗品費として計上する方法を解説しましょう。
法人の場合は、一言で言えば、プライベートでも利用できるものであれば消耗品費として処理できます。
たとえば、事務員の着るユニフォームは就職活動などでも利用できる場合があるため消耗品費として処理可能です。
また、現場で働く作業員の作業服であっても自宅の庭仕事や畑仕事で使っても良いとすれば、消耗品にできます。
非常にまれな例ですが、法人化しているのに経営者しか社員がいない場合(一人法人)の作業服は原則消耗品費として処理しなければいけないので注意しましょう。
作業服の勘定科目の選び方のポイント
最後に作業服の勘定科目選びのポイントとして、次の5点を挙げます。
実は、これらのポイントを落としてしまうと福利厚生費として計上できない場合があるので知っておきましょう。
・作業服がスーツタイプの場合
・全員が対象か一部の従業員が対象か
・課税対象か
・例年科目を同一にしているか
・理想は「製造原価」を選べる業種
作業服がスーツのようなタイプの業種も存在します。
その場合は、プライベートで使えるかどうかといった点がポイントになります。
スーツに会社のマークがついているタイプであれば、福利厚生費として計上できますが、就職活動など他の活動で使えてしまう作業着であれば、消耗品費として計上しなければなりません。
対象が全員か、一部の従業員が対象かによっても福利厚生費として計上できるかが変わってきます。
社長も新卒の平社員も全員使っているユニフォームであれば福利厚生費として計上できますが、社長が着ない、あるいは特定の部署しか使わない作業服の場合は消耗品費として処理するのがポイントです。
福利厚生費か消耗品費かといった計上をする前に、そもそも作業服が課税対象かどうかチェックしておくのもポイントです。
たとえば、兼業農家で使用している作業服を私服でできる工場で使っている場合に福利厚生費として計上してしまうと、明らかに課税対象にはならないでしょう。
福利厚生費にはならないから消耗品費にしようと、消耗品費にした場合も注意が必要です。
特に注意が必要なのが、作業服でもプライベートで使えてしまう場合です。
このような作業服で実際にプライベートでも使用している場合、あるいはプライベートとして利用される可能性がある場合は、作業服代の一部だけを経費として計上する案分(あんぶん)と呼ばれる会計処理が必要になります。
たとえば、1万円で取得した作業服の使用時間のうち20%の時間をプライベートの農作業で使用している場合は、1万円の80%分である8,000円までしか経費として計上できません。
こういった判断ができずに処理してしまい、万が一問題のある処理をしてしまった場合は、脱税になってしまうので注意しましょう。
これは、作業服が福利厚生費か、あるいは消耗品費かといった問題以前のポイントです。
毎年同じ科目にしておきましょう。
ある年は作業服が福利厚生費なのに、今年は消耗品費になっていたという阿合は経営判断がしにくくなり、外部が決算書を見た場合、状況を見誤ってしまいます。
このようないい加減な処理をしていると税務監査で誤解を生んでしまったり、融資を受ける際のキャッシュフローや財務諸表の印象も悪くなってしまったりします。
最後が「製造原価」を選べる業種かどうかということです。
製造に関わる業界での作業服は、確実に福利厚生費として計上できますが、それ以外の製造原価が選べない、あるいは選びにくいという業種の場合は、計上できるものの専門家の判断が必要になる場合もあります。
自分たちだけで計上する場合は、この点に注意して計上しましょう。

