減価償却とは
減価償却について、最初にどんなものか、なぜ減価償却のルールがあるのかについて解説しましょう。
減価償却とは、経費で大きな買い物をした場合、複数年に分割して経費として計上することを言います。
大きな買い物とは、消耗品に比べて長年使用するものであり、たとえば次のようなものが対象になります。
・車(車両運搬具)
・工作機械
・店舗や社屋
これら以外にも10万円を超えるようなものに関しては複数年に分割して経費として計上していく必要があります。
ただ、複数年といってもこちらで自由に設定して分割できるわけではありません。
実は、耐用年数の年数について法律(「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和40年大蔵省令第15号))で決まっているので、その法律で定められた年数で分割する必要があり、この年数は法定耐用年数と呼ばれています。
法定耐用年数について、たとえば多くの会社や店舗などで減価償却の対象として計上している車を挙げると次のようになります。
・新車:普通自動車が6年、軽自動車が4年で分割する
・中古車:最短でその年に全額計上。
このように細かにルールが決められています。
さらに、中古車はルールが複雑になっており、法定耐用年数内の中古車を購入した場合と、法定耐用年数を過ぎた中古車を購入した場合で異なります。
法定耐用年数内の中古車を購入した場合は、法定耐用年数から利用した年数を差し引いた年数と中古車を利用した年数の20%を足した年数分で分割できます。
一方で、法定耐用年数の期間を過ぎて利用している場合は、法定耐用年数の20%に相当する年数で分割して計上可能です。
つまり、同じ車であっても中古車の方が、少ない年数で分割して経費として計上するルールになります。
以上の計算をすると計算結果が2年未満になってしまう場合は、法定耐用年数を「2年」とみなして計算しましょう。
大きな買い物をしたら、その経費を複数年に分割して、複数年にわたって計上するのが減価償却と説明しました。
ただ、分割の方法も減価償却の方法によって異なります。
減価償却の分割方法は、次の3つが挙げられます。
・定額法
・定率法
・リース期間定額法
定額法はもっとも分かりやすい分割方法で、毎年同じ金額で分割する方法です。
たとえば、100万円の機械を購入して法定耐用年数が10年だったら、毎年10万円を経費として計上していきます。
ちなみに1年間にわたって使用していない場合には月数按分をします。
これは、「取得価額×定額法償却率(さきほどの例では10年なので10%)×使用した月数÷事業年度の月数」という式にあてはめて計算する仕組みです。
定率法は、償却期間の早い時期ほど減価償却費が高くなる計算方法です。
「減価償却費(経費として計上する金額)=未償却残高(購入年度は取得価額)×定率法償却率」で計算されます。
この定率償却率も「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」というルールで定められています。
たとえば、耐用年数が5年の場合は、0.400を定率法償却率として×ようにするという決まりです。
リース期間定額法は、リースで取得している備品の計算方法です。
こちらの計算方法は、次の式で求められます。
「その年の経費として計上できる金額=リース費用の総額×使用した月数÷リース期間の月数」
ちなみに、この方法を適用させるケースは、個人事業主の場合、そこまで適用されるものではありません。
なぜなら、リース料の総額が300万円以下やリース期間が1年以内の契約のものについては適用されないからです。
このようにルールが複雑になり、確定申告をする自営業者がつまづきやすい減価償却ですが、なぜこのようなルールが設けられているのでしょうか。
それは、高額な備品に対する考え方、正確な利益が把握しやすいといった2点からです。
高額な備品は、ペンや紙などの消耗品と異なり、資産となります。
そのため、資産を1年で一括で計上するのではなく、時間がたつごとに価値が減っていくので、それに合わせて資産を計上していく考え方の方が実情に合っています。
たとえば、購入価格200万円の営業車であれば購入した当初は200万円の価値がありますが、年数がたつにつれて中古車としての価値が下がっていきます。
資産の価値が下がっていく様子を表現する意味で、経費として少しずつ計上し、価値を下げるのです。
実際は、ビンテージがついたり、急激に価値を落としてしまったり(営業車であれば不人気車など)もします。
しかし、そう言った細かなものを抜きにして、シンプルにしたものが、実は減価償却なのです。
正確な利益が把握しやすい点も減価償却の意義です。
たとえば、初年度に300万円の機器を購入して開業したり、ある年に500万円の機器を購入したりした場合、その購入した年だけで大赤字になります。
このような経費の計上をしてしまうと、銀行からの融資を打ち切られるといったリスクが出てしまいます。
そうならないように、毎年正確に、どのくらいの利益が出ているかを把握する意味でも分割して計上する意義があるといえるでしょう。
分化することで、大赤字の年度がなくなり、帳簿上コンスタントに黒字が出ている状態になりやすくなるでしょう。
減価償却資産の耐用年数が終わった後の処理
減価償却は、先ほど紹介したように耐用年数が過ぎたら、経費として計上できなくなります。
ただ、耐用年数が過ぎたからと言って、急に車が壊れたり、機器が壊れたりといった事はありません。
それに法定耐用年数は、あくまで目安なので、その年数が過ぎてもこれまで通り使用でき、違法行為になるといったこともないのです。
また、耐用年数どおりに減価償却をしていくと最後に残存簿価が1円(または0円)になるため、何かしらの会計処理をする必要もあります。
このように減価償却資産の耐用年数が過ぎた場合は、次の2つのケースで対応が異なります。
・そのまま使う場合
・除却や売却
これらについてそれぞれ解説しましょう。
そのまま使う場合
冒頭でもふれた通り、法定耐用年数を過ぎても減価償却資産は、そのまま使うことができます。
この場合は残存簿価をそのままにして、帳簿に残しておきましょう。
減価償却が終わったら廃棄する必要はありません。
たとえば、普通自動車(法定耐用年数6年)の法定耐用年数が終了して残存簿価が1円になったとします。
この場合は、そのまま普通自動車を事業で継続して使用し、帳簿上は残存簿価の残ったまま、普通自動車を残しておくという会計処理を施します。
除却・売却
企業や事業主によっては、法定耐用年数が過ぎた時点で減価償却資産を手放す方針であったり、買い替えの目安にしている場合があります。
この場合は、帳簿上でも、実際にも減価償却資産がなくなるので、残存簿価を消す除却処理をします。
ここで注意点として、実際に資産がそのまま、工場の隅に片づけられていて減価償却資産とみなされない状態になっている場合です。
この場合は減価償却が終わったら、資産としては、まだ会社に残っているが今後使用する可能性がないことが明らかな場合等一定の要件を満たすことで除却できます。
加えて減価償却が終わったら、解体処分して費用が発生したり、車のように売却して利益が入ったりといったケースも出てきます。
この場合は、処分費用を経費として計上したり、売却して得た利益を譲渡所得などのように利益として計上したりといった会計処理を別途行う必要があるため、必ず実施しましょう

